食事の準備・配膳

スチームコンベクションオーブンを導入して、調理時間が約半分に短縮。「仕上がりも満足です」

湯坊いちらく TENDO SPA & BREWERY

山形県天童市

インタビュー

課題
人材確保が難しい調理部において
個別対応の業務が増し、準備が間に合わない
改善
高性能な機器を導入して調理の作業を効率化。
少人数でも回るようになり、対応できる人も増えた
導入ソリューション
スチームコンベクションオーブン
  • 施設名

    湯坊いちらく TENDO SPA & BREWERY

  • エリア

    山形県天童市鎌田本町2丁目2-21

  • 施設概要

    1953年創業、客室:44室

  • URL

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(左から)湯坊いちらくに長年務める調理部 総料理長の武内さん、6代目の代表として館を牽引する佐藤さん、統括管理部部長として企画に尽力する柴田さん。今回の補助事業の成果や感想をお伺いしました。

本事業をどのようにして知りましたか

普段は、補助事業等の制度や支援策のことをインターネットで情報収集していまして​、山形県庁さんで実施された人材不足対策事業の説明会に参加したことが、きっかけとなっています。オンライン形式で開催された説明会でしたので、気軽に参加できました。

また、弊社の代表が商工会の青年部に所属している関係で周知もありましたし、天童(てんどう)市は温泉地として栄えてきた街で、地域のつながりが強いんです。​お互いに情報交換をしています​。

事業実施となった背景を教えていただけますか

実は以前から少しずつ、売上や人手不足という面で課題を抱えていました。

コロナ前までの集客の主軸は、宴会や歓送迎会などで利用いただく地元客や、インバウンドの流れにのった海外からのグループでした。団体中心の受け入れ体制でしたので、弊社で運営している観光バス​事業を組み合わせて、駅や空港までの送迎も行っていました。

コロナ禍が落ち着いたころに団体さんは減り、代わって個人のお客さまに来ていただく機会が増えました。お客さまの流れが変わったんですね。そのタイミングで将来を見据えて、以前から小規模に取り組んでいた事業を強化することになったのです。それが、ブルワリー(自社で運営するビール醸造所)です。​
古くなっていた木造平屋の建物をリニューアルしたり、今まで使っていなかった場所にビールを楽しめる空間を造りました。

「宿泊と、美味しい地ビール」。自社らしい魅力ができたことによって都心からも多くのお客さまに来ていただけるようになりましたが、お客さまの層が多様化したことで、人手不足の課題が顕著になりました。特に厨房での準備が追いつかなくなったのです。

調理部での人材不足が深刻になってきたのですね

はい、世の中で求められるサービスが、「量」から「質」に変わったのだと実感しました。

今までは団体さんが多かったので、お料理の準備も事前にまとめてできました。ご提供する惣菜もある程度おなじでしたので、量は多いけれど一気に人の手で準備を進められていました。

昨今は、食材のアレルギーに対応する個別メニューを用意したり、それぞれのお食事時間に合わせて提供時間を変えていくなど、より細やかな対応力が求められます。既存の厨房機材を活用しても準備が追いつかず、かといって人手も足りない。どう解決できるかを弊社の代表と調理部の総料理長を交えて検討し、高機能な「スチームコンベクションオーブン」を導入することに決めました。

実際に導入されて、使い勝手はいかがですか

使い勝手が非常に良いと感じています。スチームコンベクションオーブンは、煮る・焼くといったさまざまな加熱調理が一台でできるので​、出来栄えにムラがないのが、何より良いです。今までは、職人が手をかけないと料理の出来にバラつきがでることがありました。

約5年前にホシザキさん(メーカー)が主催する”スチコン研修会”に行かせてもらい、機器のことを知ってから、ずっと興味は持っていました。

特に良いと思える機能はどういった点ですか

オーブンと蒸し器など多機能を備えていることから、「温度は上げつつも、湿度はしっかり保つ」といった高度な設定ができるところです。

例えば、いまデザートとしてご提供しているチーズケーキは、表面はしっかり焼きあげつつも、中はしっとり仕上がります。こういったメニューは、アナログ調理で行う場合、専門的な技術が必要とされますが、この機器でしたら比較的容易にできるため新メニューを開発できる可能性が広がっています。

また、料理の献立では今の時期、秋刀魚(サンマ)の南蛮漬けを作ることがあります。これまでのやり方ですと、まずフライ鍋を使って魚を一つひとつ素揚げし、そのあとフライパンで甘酢をからめて…と1つのメニューに対して人がつく時間が長かったです。この機器を使えば、別の作業も同時進行できますし、イメージ通りにカラッと揚がります。調理に必要な油などのコスト削減にもつながっています。

機器を導入してまだ2ヶ月程度ではありますが、メリットはいくつもあると思いました。

目利きの総料理長から見て、仕上がり具合はいかがですか

品質に関しても、しっかり仕事してくれていますよ。機械ですが、まるで”良い人材”が来てくれたような感覚です(笑)。できれば、あと2~3台くらい追加で導入したいくらいです。

基本的にうちは、ビールとの相性の良いお料理を提供していますので、高温で焼き上げるグリル料理が多いです。今は15種類くらいの調理プログラムを組み込んでいて、メニューを選択したらスムーズに調理開始できます。

一つひとつ、こだわりが詰まった創作料理。湯坊いちらくでは、宿泊代金の中に食事・飲み物・施設利用料などがすべて含まれる「オールインクルーシブ」というスタイルで提供しています。

最新機器を導入することの抵抗感はありませんでしたか

「うまく使いこなせるだろうか」という操作に対する心理的なハードルは多少ありましたが、実際に導入するとメニューの設定方法を一度覚えてしまうと、操作自体は簡単です。若手スタッフが中心になって使いこなしてくれています。​若い人は機器の特長を覚えるのも早いし、設定作業も上手ですよ。

ベテランは、焼き加減や蒸し具合など、当館らしい料理の方針を若いメンバーに伝えていく役割を担っています。

“親方”と全スタッフから慕われる総料理長の武内さんと、最新の機器をスムーズに使いこなす若手スタッフさん。

省人化の効果はどのくらいでしょうか

調理時間は、約半分に短縮されました。機器が動いている間は別の作業が進められるため、体感としてはそれ以上の時間短縮効果を感じます。

現場的にはやはり、ブレがなく料理が仕上がることが良いと思っています。料理の出来にばらつきが生じると、どうしても廃棄する量も増えてしまいますが、導入によりロスが減りました。経済的な効果も得られています。

「調理部の課題解決は、宿のなかでも優先度が高かったです」と、代表の佐藤さん。

ブルワリーも魅力的に映ります。取り組みについて教えてください。

先代から手掛けておりましたが、投資額が大きく軌道に乗せるまでは紆余曲折ありました。

ブルワリーは本補助事業とは直接関係していませんが、宿の魅力づくりの一環として強化し、地元の特産品をしっかり事業化するために組合も作りました。近隣県との繋がりをもったり、お客さまに製造過程を見ていただける体験プランもご用意しています。「さくらんぼビール」や「蕎麦ドライ」などの山形の特産を活かしたフレーバーが人気ですね。

事業実施後、社内で変わった点などはありますか

調理部の”働き方改革”として、2交代制勤務を取り入れました。

昔から旅館業は、朝夕などピークの時間帯の勤務が終わったらいったん長めの休みをとる「中抜け勤務」がありました。いったん業務から離れる時間があるとはいえ、拘束時間が長く感じられることが採用の課題となっていました。2交代制は、最近導入したばかりでまだ手探りはありますが、新しい試みです。

お給料面だけでなく、働きやすい体制や環境づくりに目を向けることも大切だと感じています。

最後に、事業実施を振り返っていかがでしたか

「手をかけずに、良いものを追求する」という視点も大事と感じました。

当館に関しては、昭和からコロナ明けくらいまでは団体が中心でしたが、今は個人のお客さまが主流です。お料理の内容も変わり、お客さまのさまざまなニーズに対応する時代ですから、厨房での仕事は増えています。

今回の補助事業のように、人手が足りない部分は機械でうまくカバーすることで、現場の負担を抑えながら、料理の質を維持できると感じています。お客さまに美味しく味わっていただくことが、私たちにとって何よりも大切な価値だと、改めて実感しました。
そのための基盤として、スチームコンベクションオーブンのような高機能な機器が今後ますます重要になっていくと感じています。​

お忙しい中、インタビューのご対応をありがとうございました

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