食事の準備・配膳

スチームコンベクション含む4機器を導入。働きやすさと“約50%の省人化”を実現

信州・野沢温泉 旅館さかや

長野県下高井郡

課題
調理に必要な設備が分散しており、
各工程での移動や準備に時間がかかっていた
改善
調理時間を短縮し、業務の属人化を軽減
厨房における教育も効率化された
導入ソリューション
スチームコンベクションオーブン、温蔵庫、舟形シンク付コールドテーブル、コールドカート

今回、厨房で取り入れた機器を教えていただけますか

焼く・蒸すなどの複数の調理機能を持つ「スチームコンベクションオーブン」と湿度管理ができる「温蔵庫」、作業がしやすい「舟形シンク付コールドテーブル」、そして冷却機能付きの「コールドカート」の合計4点です。

すべて厨房で使うものです。現状の体制からより働きやすく、より効率的な厨房にしていこうという目的で導入しました。

もともと厨房で抱えていた課題は、どのような事でしたか

ここ野沢温泉村(長野県)は、スキーやスノーボードの需要がある地域で、特に冬場はレジャーや観光で来られる方が沢山いらっしゃいます。うちは長年営業を続けている旅館ですが、厨房の機材は古いものを使い続けていて、少し“レトロ”な状態になっていたんですね。

また、調理工程に応じて蒸し器や焼き器など、個別の器具を使用していたため作業が煩雑になり、効率化が難しい状況でした。

限られた厨房スペースの中で作業場所を確保して効率化するためにも、機器はスッキリまとめていきたいというのが私の意向でした。

人手不足という面での課題はいかがでしたか

年々、熟練の職人が減っているという業界的な傾向があり、厨房の人手不足は宿全体に影響しますね。

調理済の食材を一時的に保管しておける場所に限りがあったため、調理と配膳業務は各お客さまのお食事時間から逆算してスケジュールを立てていました。忙しいときにはサポートを必要とする人海戦術的な体制でしたので、ほかの業務にも影響が出てしまっていました。

また、惣菜に合わせた繊細な温度管理や、お料理のクオリティを常時確認したいという思いから「職人さんしかできない」、「この器具の使い方は、◯◯さんがよく知っている」という様に、人に頼っている部分も課題でした。

今回はすべて厨房機器の専門メーカーで取り揃えられましたね

はい、厨房での設置条件を考えながら専門メーカーさんとしっかり話をして機器を選びました。

特に舟形シンク付コールドテーブルは横幅1.5mほどの大型設備ですから、どの角度で設置するか、また既存の空間にうまく収まるのか綿密に計画していくことが必要でした。排水や電気の配線、ガス管の位置にも関わってきますから、導入の前段階で検討事項が多くてなかなか大変でした(笑)。

舟形シンク付コールドテーブルとは、どういった物品ですか

据え置き型の作業台です。一般的には作業台の下に冷蔵庫が付いているタイプを見かけますが、さらにシンク(流しの水槽)が組み込まれているタイプになります。「舟形」というのは、大型シンクが付いた作業台のこと指して、昔から業界では「ふながた」と呼ばれているんですよ。

例えば、職人が水を流しながら魚を捌いてそのまま刺し身を造ったり、生鮮食材をすぐ下の冷蔵庫からサッと取り出して仕込み作業ができるという便利さが特長です。

必要なものがすぐ手の届く範囲に揃っているため、食材を持って移動することがほとんどなくなり、作業がスムーズに進められるようになりまし

とても優れた作業台ですね

厨房での導線確保という面でのメリットもありますし、導入理由として大きかったのは衛生面での安心感です。

人が食材を持ったまま動くとなるとその分、何かの拍子に食材が触れてしまったりなどのリスクもありますので、本来はあまり食材は動かしたくないのです。導入した舟形のテーブルですと、冷蔵庫がすぐ下に付いていることで鮮度も維持しやすくなります。

事業計画の段階で、周囲の方とはどのように話をされましたか

「今の時代は、多機能の使いやすい機器がたくさんあるので、優先順位をきめて導入してみてはどうだろう」と、申請担当者を含めて現場スタッフも一緒に検討しました。

ボタン操作で調理を同時進行できる機械を活用すれば、職人ではない方も調理スタッフとして携わることができます。職人やスタッフの作業負担が軽減されると、提供する料理のクオリティに対する意識がもっと高くなるのではと考えました。

冬場のスキーシーズンが始まる繁忙期はスポットで働いてくれる若手スタッフも入ってきてくれるため、皆が気持ちよく働ける環境に変えていきたかったのです。

実際に、厨房での設置計画はどのように進められましたか

夏場の比較的ゆっくりした稼働になる時期のことを「グリーンシーズン」と呼んでいまして、その時期は宿の休館日を数日作っています。その日に合わせて、2回に分けて導入しました。
メーカーさんの手際が良かったのでスムーズに実行でき、お客さまにはご迷惑をかけずに設置が完了できました。

メンテナンスで長くお付き合いのあるメーカーさんでしたから、うちの構造をよく理解してくれていたことも有り難かったです。

機器を導入した効果はどのくらい感じられていますか

4つの機材を導入して、1日の作業が1人あたり6時間ほどの時短が図れたという感触をもっています。教育コストも含んで、半分くらいの労力で省人化できました。

特にスチームコンベクションオーブンは、蒸す・煮る・焼くの作業が同時にできますので便利ですね。最初に調理方法の方針を決めて設定マニュアルを作るという仕事は、やはり知識や経験を積んだ職人でないとむずかしい面がありますが、段取りが決まれば他のスタッフも自立して調理を担当することができます。

作業効率が上がった点以外にも、良かった事はありますか

そうですね、怪我のリスクが減ったことでしょうか。
昔の道具は、加熱している最中は器具そのものまで熱くなってしまって、火傷につながる恐れもあります。皆、もちろん注意しながら作業していますが、常に気を張っていなければならない状況でした。

導入した「スチームコンベクション」は、ガラス扉を開ける際に蒸気がでるので用心はしますが、機械そのものは熱くなりませんので非常に扱いやすいです。

最後に、事業実施を振り返っていかがでしたか

宿全体で改善していきたいことが多くある中、今回は厨房の改善に取り組みました。候補となった調理器具のアイテムは本当にたくさんあったのですが、最良の製品を選び抜くことができたと思っています。

おかげさまで昨冬の観光シーズンには、多くのお客さまにお越しいただき、宿も忙しくさせていただきました。以前の厨房の体制のままでしたら、もしかしたら乗り切れなかったかもしれない…という実感もあり、事業実施のタイミングも良かったと感じています。

効率化できるところは実施して働きやすい環境をつくりつつ、この地域だからこそチャレンジできる若い人たちの仕事も前向きに作っていくつもりです。

スキー以外にも、良質の温泉や豊かな自然など、地域の魅力はたくさんあります。ぜひ多くの方に知っていただけたらと思います。

お忙しい中、インタビューのご対応をありがとうございました

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